スロベニアの白ワイン

スロベニアの白ワイン

【スロベニア白ワイン紀行:プリモルスカ、ポドラウィエ、ポサウィエのテロワールを巡る旅】

 

スロベニア、それはヨーロッパの隠れた宝石のような国。
アルプスの山々に抱かれ、アドリア海に面したこの小さな国は、変化に富んだ地形と気候が織りなす多様なテロワールを有しています。
この豊かな自然が育むワインは、世界的にも注目を集めており、特に白ワインはその繊細な味わいと個性的なアロマで、多くのワイン愛好家を魅了しています。
今回は、スロベニアの主要なワイン産地の中でもとりわけ白ワインに焦点を当て、プリモルスカ、ポドラウィエ、ポサウィエという3つの地域を巡る旅に出かけましょう。
それぞれの土地が持つ独特の魅力、そこで育まれるブドウ品種、そしてワインと料理のマリアージュまで、その奥深い世界をじっくりと探求していきます。

 

太陽と風が育む、アドリア海の恵み「プリモルスカ」

 

まずはスロベニア南西部に位置し、イタリアと国境を接するプリモルスカ地方から旅を始めましょう。
プリモルスカは地中海性気候の影響を受ける温暖な地域で、太陽の恵みとアドリア海からの風が、ブドウ栽培に最適な環境を作り出しています。
この地域では、国際品種と土着品種がバランスよく栽培され、バラエティ豊かな白ワインが生み出されています。

 

スロベニア白ワインの歴史と文化

 

プリモルスカのワイン造りの歴史は古く、ローマ時代にまで遡ります。
中世には修道院がブドウ栽培を奨励し、ワイン造りの発展に貢献しました。
この地域は、々な文化の影響を受けており、その歴史はワイン造りにも深く反映されています。
イタリアとの国境に近いことからイタリアの食文化も色濃く残っています。

 

スロベニア白ワインの主要品種と特徴

 

スロベニアの南西部に位置するプリモルスカは、イタリアと国境を接し、地中海性気候の影響を受ける温暖な地域です。
この地域では、国際品種と土着品種がバランスよく栽培され、バラエティ豊かな白ワインが生み出されています。

 

シャルドネ (Chardonnay)

国際品種ですが、プリモルスカでも広く栽培されています。プリモルスカでは、豊かな果実味とミネラル感、バランスの取れた酸味を持つ、エレガントなスタイルのシャルドネが造られています。
特にコッリオ、ブルダ(Collio/Brda)地区で造られるシャルドネは、その品質の高さで知られています。

 

ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon Blanc)

ソーヴィニヨン・ブランはハーブや柑橘系の香りが特徴的なブドウ品種です。プリモルスカでは、爽やかでフレッシュなスタイルのワインが多く見られます。

スロベニアのソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)はこちら

 

ピノ・グリージョ (Pinot Grigio)

イタリアで広く栽培されるピノ・グリージョですが、プリモルスカでは、フルーティーでバランスの取れたワインとして表現されています。

スロベニアのピノ・グリージョ(Pinot Grigio)はこちら

 

マルヴァジア (Malvazija)

プリモルスカを代表する白ブドウ品種。
その起源は古代ギリシャにまで遡ると言われ、長い歴史を持つブドウ品種です。
温暖な気候を好み、しっかりとした果実味と複雑なアロマをもたらします。
アプリコットやオレンジピール、白い花のような香りが特徴で、ミネラル感も豊か。
様々なスタイルのワインが造られており、フレッシュなものから長期熟成に耐えるものまであります。
特に近年はオレンジワインとしての注目度が高まっています。

 

レブーラ (Rebula)

プリモルスカの地場品種。レブーラから造られるワインは、豊かなミネラル感と酸味を持ち複雑な香りが特徴です。
オレンジワインにも使われることが多く、その多様性が魅力です。

 

フリウラーノ (Friulano)

イタリアのフリウリ地方が原産で、スロベニアでも広く栽培されている品種。フルーティーでフローラルなアロマを持ち、フレッシュな酸味が特徴です。

 

 

プリモルスカの白ワインは、一般的にミネラル感と酸味がしっかりしており、バランスの取れた味わいが特徴です。地中海性気候の影響でブドウはしっかりと熟し、豊かな果実味を味わえます。

 

 

料理とのペアリング

 

プリモルスカの白ワインは、地元の料理との相性が抜群です。そのいくつかの組み合わせを紹介します。

 

レブーラとシーフード:

レブーラの豊かなミネラル感と酸味は、新鮮な魚介類と相性抜群です。特にアドリア海に面したピランで獲れたイカやエビを使った料理によく合います。

 

ソーヴィニヨン・ブランとサラダ:

ソーヴィニヨン・ブランの爽やかな香りは、フレッシュなサラダと合わせるのがおすすめです。ハーブを使ったドレッシングとの相性が特に良いでしょう。

 

シャルドネと白身魚のグリル:

樽熟成されたシャルドネは、白身魚のグリルとのペアリングがおすすめです。香ばしい焼き加減と、ワインのコクが絶妙にマッチします。

 

フリウラーノとアスパラガス:

フリウラーノのフローラルな香りとフレッシュで柔らかな酸味は、春の味覚アスパラガスとよく合います。アスパラガスのリゾットやグリルと合わせてみましょう。

 

オレンジワインと肉料理:

レブーラなどのブドウを使ったオレンジワインは、複雑な風味を持ち、鶏肉や豚肉などの肉料理にもよく合います。

 

 

スロベニアの大陸性気候が育むエレガントな味わい「ポドラウィエ」 

 

次はスロベニア北東部に位置するポドラウィエ地方へ足を運んでみましょう。
ポドラウィエは大陸性気候の影響を受ける地域で、夏は暑く、冬は寒いのが特徴です。
この気候がブドウに複雑な風味と酸味をもたらし、エレガントなスタイルの白ワインを生み出しています。
ポドラウィエは、さらにシュタイエルスカ(Štajerska)とプレクムリェ(Prekmurje)という2つのサブリージョンに分かれています。

 

ポドラヴィエの歴史と文化 

 

ポドラヴィエのワイン造りの歴史も古く、古代ローマ時代にまで遡ると言われています。中世には修道院がワイン造りを奨励しその発展に貢献しました。この地域はオーストリアやハンガリーの文化の影響を強く受けており、食文化にもその影響が見られます。

 

ポドラウィエの主要品種と特徴

 

ポドラウィエでは、主に国際品種と一部地場品種が栽培されています。

 

ラシュキ・リースリング (Laški Rizling)

オーストリアでは「ヴェルシュリースリング」、クロアチアでは「グラシェヴィナ」、イタリアでは「リースリング・イタリコ」とも呼ばれるこの品種は、ポドラヴィエを代表する白ブドウ品種の一つです。
柑橘類や白い花の香りが特徴的で、酸味が豊かでフレッシュで軽快なワインとなります。

 

シポン(Šipon) / フルミント(Furmint)

スロベニアの白ワインを代表する品種であり、ハンガリーのトカイ地方で栽培される「フルミント」と同一品種です。
その歴史は古く、13世紀頃には既にこの地で栽培されていたと言われています。
高い酸とミネラルを持ち、フレッシュでフルーティーなアロマが特徴です。
青リンゴや柑橘系の香りに、白い花やハーブのニュアンスが加わり複雑な風味を醸し出します。

 

ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon Blanc)

ポドラウィエのソーヴィニヨン・ブランは、プリモルスカよりもややハーブ感が強く、酸味がしっかりとしているのが特徴です。

スロベニアのソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)はこちら

 

ピノ・ブラン (Pinot Blanc)

ポドラヴィエでは、ピノ・ブランも重要な品種です。
軽快でフレッシュな味わいが特徴的で、繊細なアロマが楽しめます。

 

シャルドネ (Chardonnay):

ポドラウィエのシャルドネは、一般的に冷涼な気候の影響を受け、酸味が豊かでミネラル感のあるスタイルが特徴です。

 

シルヴァーナ (Sylvaner)

ドイツやオーストリアで広く栽培される品種ですが、ポドラウィエでも栽培されています。
軽快で爽やかな味わいが特徴です。

 

モスカテル (Moscatel)

マスカット系の品種で、華やかな香りが特徴です。
甘口ワインに使われることが多いですが、辛口に造られることもあります。

 

 

ポドラヴィエの白ワインは、冷涼な気候の影響を受け、アロマティックで酸味が豊かであり、繊細な味わいが特徴的です。
リースリングやソーヴィニヨン・ブランのように、ハーブや柑橘類のアロマが感じられる、爽やかなワインが多く見られます。

 

料理とのペアリング

 

ポドラウィエの白ワインは、洗練された料理との相性が抜群です。

 

リースリングと白身魚のハーブ焼き:

リースリングの豊かな酸味は、白身魚のハーブ焼きによく合います。
ハーブの香りと、リースリングのミネラル感が絶妙にマッチします。

 

ソーヴィニヨン・ブランと山菜の天ぷら:

ソーヴィニヨン・ブランのハーブ感は、山菜の天ぷらとの相性が良いでしょう。軽やかな味わいが、揚げ物の油っぽさを打ち消してくれます。

 

ピノ・ブランと鶏肉のクリーム煮:

ピノ・ブランの繊細な味わいは、鶏肉のクリーム煮との相性が抜群です。
ワインの優しい風味が、料理の味わいを引き立てます。

 

フルミントとハンガリー風シチュー:

フルミントは酸味とミネラル感があり、ハンガリー風のシチューのような、スパイスを使った料理にもよく合います。

 

 

歴史と自然が調和する、隠れた銘醸地「ポサウィエ」

 

最後に、クロアチアと国境を接するスロベニア南東部に位置するポサウィエ地方へ旅をしましょう。
ポサウィエはサヴァ川沿いに広がる地域で、スロベニアの中でも隠れたワイン銘醸地です。
この地域は国際品種と土着品種が栽培されており、歴史的なブドウ栽培の伝統を守りながら、質の高い個性的な白ワインを生産しています。

 

ポサウィエの歴史と文化 

 

ポサウィエのワイン造りの歴史は長く、この地域には中世の城や古い教会などの歴史的な建造物が残されており、また伝統的な手工芸品も有名で、古くからのワイン造りの足跡を見ることができます。

 

ポサウィエの主要品種と特徴

 

ポサウィエでは、地場品種を中心に、国際品種もバランスよく栽培されています。

 

シャルドネ (Chardonnay)

ポサウィエのシャルドネは、ミネラル感と酸味がしっかりとしており、バランスの取れたスタイルが多くなっています。

 

ソーヴィニヨン・ブラン (Sauvignon Blanc)

ポサウィエのソーヴィニヨン・ブランは、ハーブと柑橘系の香りが特徴で、爽やかな味わいです。

スロベニアのソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)はこちら

 

ラシュキ・リースリング (Laški Rizling)

このブドウからでは、フレッシュでフルーティーな白ワインが造られます。

 

 

ポサウィエの白ワインは、国際品種と土着品種がバランスよく作られており、他の地域とは異なる独特な味わいとアロマを持っています。
フレッシュで飲みやすいワインが主流ですが、中には複雑な香りを持ち、食事と合わせやすいものも存在します。
特に珍しいのが「Cviček」と呼ばれる200 年を超える歴史を持つワインです。
低アルコール度数でありながら、淡い赤色でわずかに酸味があるフレッシュで軽い味わいで、この地方を代表する人気ワインの一つです。

 

料理とのペアリング

 

ポサウィエの白ワインは、素朴な家庭料理との相性が抜群です。

 

シャルドネとキノコのリゾット:

シャルドネのコクは、キノコのリゾットによく合います。
クリーミーなリゾットと、ワインの風味がマッチします。

 

ソーヴィニヨン・ブランと川魚のグリル:

ソーヴィニヨン・ブランの爽やかな香りは、川魚のグリルと相性抜群です。
特に、イワナやヤマメなどの淡白な魚によく合います。

 

ラシュキ・リ-スリングとチーズパイ:

ラシュキ・リ-スリングのフルーティーな味わいは、チーズパイとの相性が良いでしょう。

 

 

白ワイン・お勧めのワイナリー

 

Ptujska klet-プトゥイスカ クレット-Pullus-プルス-

 

スロベニアの北東部にあるプトゥイ(Ptuj)に位置するスロベニア最古のワイナリーのひとつ。
アーカイブ セラー (1873 年設立) には20万本ものワインが保管されており、あらゆる種類のワインが幅広く取り揃えられています。
ブドウ園はシュタイエルスカ・ スロベニア地区と呼ばれるアルプスの南東側に位置します。
地中海性気候の影響を受け、ブドウの木を育てるのに世界で最高の場所の一つとして知られており、造られるワインはバランスが取れ、飲みやすい自然派ワインに仕上がっています。
ここではドラヴァ川の急こう配の段々畑を中心に、3つの地域にわたる多種多様なブドウ園からブドウが供給されており、それが複雑な味わいの源泉となっています。
海抜は400m、土壌は上層部が砂利と粘土、下層部が泥灰岩で出来ており、8 月には夜間の気温が10~15 度に下がるため、自然の酸味が残ります。
過去10年間にワインコンクールで300以上の賞やメダルを獲得しており、2012-2018年のAWC ウィーンにおいては、7年連続でスロベニアのベストナショナル生産者として表彰されています。

 

Ptujska klet-プトゥイスカ クレット-Pullus-プルス-)のワインこちら

 

Vinag 1847-ヴィナグ 1847-

 

Vinag はマリボル市内中心部に佇む歴史あるクラシックなワイナリー。
このワイナリーの最も貴重な特徴は、1847年に設立された街中の真下にあるワインセラーです。
セラーは地下2.2kmにわたって広がり、広さは15,000m²以上を誇り、木製の樽とコンクリートタンクが多く張り巡らされています。
クラシックなワインセラーの中では東欧最大級の規模を誇り、合計 300 万リットルの容量があります。
また内部には1946 年ヴィンテージのボトルが展示されています。

 

もともとVinagはユーゴスラビア最大の生産者でしたが、旧国家の崩壊とスロベニアの独立に伴って、民営化のプロセスが行われました。
その結果、このワイナリーも個人の手に渡り、長期にわたって停滞していましたが、紆余曲折を経て現在のオーナーとなり、見事に復活を遂げました。

 

Vinagはポドラウィエ地域に 52 ヘクタールのブドウ園を所有しています。
ここにおけるブドウ栽培とワイン造りは、創始者のアロイツ・クリーフーバーがワインの栽培を始め、ワインセラーを建てた 1847年に始まりました。
洗練されたワインの味わいと共に、長いワイン造りの文化を堪能できます。

 

Vinagは定期的にさまざまなコンテストに参加しており、数々の優秀な成績を収めています。
近年ではGREAT AMERICAN 2023においてSauvignon BlancPlatinum medalja賞を、またSommelierska selekcija 2023においてKriehuber Chardonnay Brut 2019Best Aperitiv v kategoriji Penine賞を受賞しています。

Vinag 1847-ヴィナグ 1847-のワインこちら

 

ZLATI GRIC-ズラティ グリック-

 

ZLATI GRICはリュブリャナとマリボルの間にある小さな町、Slovenskih Konjic近くの斜面に位置するワイナリー。
名前の由来はこの風光明媚な土地から生まれる黄金の丘=ZLATI GRICから命名されています。
1165年に修道士によってに持ち込まれたワイナリーで、何世紀にもわたるワイン造りの伝統を尊重しているのと同時に、近代的な設備も有しており、スロベニア国内でも人気のワイナリーの一つです。

 

ワイン造りは伝統的な手法と現代のテクノロジーを組み合わせ、無駄な工程や材料を一切使わず、シンプルな作りに徹しています。
ワインセラーは3500平方メートルの面積を誇り、最大で130 万リットルのワインを保管できます。そしてワイナリーには宿泊施設、レストランなどの他、ゴルフコースなども備わっており、近年ンはワインツーリズムにも力をいれています。

ZLATI GRIC-ズラティ グリック-こちら

おわりに

 

スロベニアの白ワインは、その多様性と複雑さから、まるで交響曲のようです。
それぞれの産地、それぞれのブドウ品種が、オーケストラのように様々な音色を奏でています。
そしてそれらが組み合わさることで、豊かなハーモニーを形成しています。
スロベニアワインを味わうことは、「テロワールの交響曲を巡る旅」とも言い換えられるかもしれません。

 

この記事を通して、スロベニアの白ワインの世界に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
ぜひ一度、スロベニアの白ワインを手に取り、そのテロワールを旅してみてください。
きっと新たな発見と感動に出会えるはずです。
そしてそれぞれの土地で育まれたブドウ品種が、どのようにテロワールと調和し、どうやって独自の個性を生み出しているのか、それを味わい、知ることによって、スロベニアの魅力をさらに深く理解することができるでしょう。

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