スロベニアのスパークリングワイン

スロベニアのスパークリングワイン

スロベニアの泡が奏でる喜び:知られざるスパークリングワインの魅力

 

「スロベニア」と聞くと、多くの方はアルプスの山々や美しい湖を思い浮かべるかもしれません。
しかしこの小さな国は、実はワイン造りにおいても長い歴史と豊かな多様性を誇っており、特に近年は高品質なスパークリングワインが注目を集めています。

 

 

スロベニアのスパークリングワインは、その繊細な泡立ちと複雑なアロマが特徴で、自然な製法にこだわり、テロワールの個性を最大限に引き出すことを目指しています。
多くの生産者はブドウ栽培において、有機農法やビオディナミ農法を採用し、野生酵母を使った発酵や、亜硫酸の添加を極力抑える手法など、自然なアプローチを追求しています。
製法は伝統的な瓶内二次発酵方式(メトド・クラシク)で造られるものから、シャルマ方式(タンク内二次発酵)で造られるものまで、様々なスタイルが存在します。
特に瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインは、シャンパーニュに匹敵する品質の高さを誇り、国内外のコンクールで高い評価を得ています。

 

スロベニアでは、スパークリングワインを「ペニーナ」と呼びます。総じてスロベニアのスパークリングワインは、フレッシュで生き生きとした果実味やミネラル感、そして繊細な泡が特徴です。

 

地域別に見るスロベニアのスパークリングワイン

 

プリモルスカ(Primorska

 

プリモルスカは、スロベニアのスパークリングワイン造りの中心地であり、シャルドネやピノ・ノワールなどの国際品種に加え、レブーラなどの地場品種も栽培されており、エレガントで複雑なスパークリングワインが造られています。特にゴリシュカ・ブルダ(Goriška Brda)地区では高品質なワインが数多く造られています。

 

またブルダ(Brda)、ヴィパヴァ(Vipava)、クラス(Kras)などの地域においては、地中海性気候と石灰質の土壌を活かしたスパークリングワインが造られており、シャルドネやピノ・ノワールなどの国際品種に加え、レブーラ(Rebula)やマルヴァジアなどの地場品種を使った、エレガントで複雑な味わいのものも造られています。

 

ポドラウィエ(Podravje

 

スロベニア北東部に位置するポドラウィエ地方は、そのなだらかな丘陵地帯と冷涼な気候から、高品質な白ワインの産地として知られています。
特にシュタイエルスカ・スロベニア(Štajerska Slovenija)やプレクムリェ(Prekmurje)などの地域では、冷涼な気候と多様な土壌を活かし、ラシュキリースリング(Laški Rizling)やシャルドネ、フルミント(Furmint)またはシポン(Šipon)などの品種を使った、フレッシュでアロマティック、酸味の豊かなスパークリングワインが造られています。

 

このように地の利を活かしたスパークリングワインの生産が盛んになった結果、エレガントな酸味、繊細なアロマ、そして長い余韻のワインが生み出されており、国際的なワインコンクールでも高い評価を得ています。

 

ポサウィエ(Posavje

 

ポサウィエはスロベニアの南東部に位置し、大陸性気候と地中海性気候の両方の影響を受けており、比較的温暖な気候が特徴の地域です。
軽快でフレッシュなワインが造られており、スパークリングワインにもその特徴がよく表れています。

 

 

スロベニア スパークリングワインの歴史:知られざる泡の物語

 

スロベニアは、ヨーロッパの中央に位置する小さな国でありながら、多様なテロワールと長いワイン造りの歴史を持つ国です。
その歴史の中でもスパークリングワインに関しては、他のヨーロッパ諸国と比較して後発ではありましたが、近年ではその高い品質に注目が集まっています。
スロベニアのスパークリングワインの歴史は19世紀後半に始まり、試行錯誤と革新を経て、今日の姿に洗練されています。
ここからはその軌跡を辿りながら、スロベニアのスパークリングワインの歴史と特徴について詳しく掘り下げていきます。

 

 

19世紀後半:初期の試みとオーストリアの影響

 

スロベニアにおけるスパークリングワインの歴史は、19世紀後半、当時オーストリア・ハンガリー帝国の一部であった時代まで遡ります。
この時期、スロベニアのワイン生産者たちは、近隣のオーストリアやハンガリーで盛んになりつつあったスパークリングワインの製造技術に触れ、自国での生産を試みるようになりました。

 

初期のスパークリングワイン生産は、主にオーストリアの影響を強く受け、瓶内二次発酵方式(メトード・クラシック)が導入されました。
この方式はシャンパーニュ地方で発展した伝統的な製法であり、スロベニアのスパークリングワインの基礎となりました。

 

そしてこの時期に特に重要な役割を果たしたのが、スロベニア北東部のポドラウィエ地方にあるラドゴンスケ・ゴリツェ(Radgonske Gorice)というワイナリーです。
1852年に創業したこのワイナリーは、今日に至るまで、スロベニアのスパークリングワインの歴史において重要な役割を担っています。
彼らは当時ヨーロッパで流行していたスパークリングワインのスタイルを取り入れながら、自社のブドウと技術を駆使して、高品質なスパークリングワインを造り出すことに成功しました。

ラドゴンスケ・ゴリツェ(Radgonske Gorice)のワインはこちら

 

20世紀前半:社会主義体制と停滞の時代

 

 

20世紀に入ると、第一次世界大戦と第二次世界大戦という2つの大きな戦争が起こり、スロベニアのワイン産業も大きな影響を受けました。
とりわけ第二次世界大戦以降、スロベニアは社会主義体制となり、ワイン産業は国営化されました。

 

この時期、ワイン生産は量産化に重点が置かれ、品質よりも生産効率が優先されるようになりました。
スパークリングワインの製造も例外ではなく、瓶内二次発酵方式は時間と手間がかかるため、より効率的なタンク方式(シャルマ方式)が導入されます。
これにより、大量生産が可能になった反面、残念ながら品質の低下を招くことになりました。

 

この時期のスパークリングワインは、主に国内消費向けのものであり、輸出はほとんど行われませんでした。
社会主義体制下においては、競争原理が働かず、品質向上へのインセンティブも少なかったため、スロベニアのスパークリングワインは国際市場において存在感を失うことになりました。

 

20世紀後半から現在:独立と復興、そして革新

 

1991年にスロベニアは独立を果たし、社会主義体制から市場経済へと移行しました。この変化はスロベニアのワイン産業、特にスパークリングワイン産業に大きな転機をもたらしました。

 

独立後、スロベニアのワイン生産者たちは、自らの手でワインを造り、販売できるようになりました。その結果、競争原理が働くようになり、品質向上への意識が高まります。
そして多くの生産者が再び瓶内二次発酵方式を採用するようになり、伝統的な製法に立ち返るようになりました。

 

また海外からの投資や最新技術の導入も進み、醸造技術および栽培技術も向上しました。このようにして、スロベニアのスパークリングワインは再び国際市場で注目を集めるようになり、国際的なワインコンクールでも高い評価を得るようになったのです。

 

このようにスロベニアのスパークリングワインの歴史は、19世紀後半に始まり、社会主義時代による停滞を経て独立後に見事な復興を遂げました。現在では伝統的な製法と革新的なアイデアを融合させ、高品質で個性的なスパークリングワインを造る国として、国際的に高い評価を得ています。
そして多様なスタイルと手頃な価格から、世界中のワイン愛好家にとって魅力的な選択肢となっています。

 

 

現在におけるスロベニアワインの製法の特徴:

 

 

スロベニアのスパークリングワインですが、現在の製法としては下記の特徴を挙げることができます。

 

伝統的な製法への回帰:

瓶内二次発酵方式(メトード・クラシック)を重視し、きめ細かい泡と複雑な風味を追求しています。

 

地場品種の活用:

スロベニア固有のブドウ品種を積極的に使用し、テロワールを表現した個性的なスパークリングワインを造っています。

 

自然派ワインの台頭:

環境に配慮したブドウ栽培や醸造方法を採用する生産者が増え、オーガニックやビオディナミのスパークリングワインも注目されています。

 

多様なスタイルの追求:

ブリュット、ブリュット・ナチュール、ロゼ、ブラン・ド・ブランなど、様々なスタイルのスパークリングワインが造られており、消費者の多様なニーズに応えています。

 

優れたコストパフォーマンス:

シャンパーニュなどの高級スパークリングワインと比較すると、手頃な価格で高品質なスパークリングワインが楽しめます。

 

 

スロベニアのスパークリングワインの種類

 

スロベニアでは多様なタイプのスパークリングワインが造られており、下記はその分類の一例です。

 

ブリュット(Brut:

一般的な辛口タイプで、爽やかでキレのある味わいが特徴です。

 

ブリュット・ナチュール(Brut Nature:

ドサージュ(補糖)を行わない超辛口タイプで、ブドウ本来の味わいを最大限に活かしたスタイルです。

 

ロゼ(Rosé:

ピノ・ノワールやレフォシュクなどの赤ワイン品種を使用し、果実味豊かで華やかな香りが特徴です。

 

ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs:

シャルドネなどの白ブドウ品種のみを使用し、エレガントで繊細な味わいが特徴です。

 

ミレジメ(Millesime:

特定の年に収穫されたブドウのみを使用し、その年の個性を表現した特別なスパークリングワインです。

 

 

スロベニアのスパークリングワインの製法

 

スロベニアでは、スパークリングワインを造る際に主に以下の2つの製法が用いられています。

 

瓶内二次発酵方式(伝統方式):

この方式は、シャンパーニュ地方で生まれた伝統的な製法で、手間と時間がかかる分、複雑で深みのある味わいが生まれます。
まずベースとなるワインを醸造し、そこに酵母と糖分を加えて瓶詰めします。
そして瓶内で酵母が糖分を分解する過程で炭酸ガスが発生し、それがワインに溶け込みます。
その後に澱引きや熟成を経て、ようやく完成に至ります。

 

この製法で造られるワインは、きめ細やかな泡立ち、パンやブリオッシュのような香ばしさ、複雑な風味などが特徴です。
シャンパーニュをはじめ、スペインのカヴァ、イタリアのフランチャコルタなどがこの製法を採用しています。

 

タンク内二次発酵方式(シャルマ方式):

タンク内で二次発酵を行う製法です。瓶内二次発酵に比べ、より短期間で大量生産が可能なため、リーズナブルな価格で高品質なスパークリングワインを造ることができます。

 

この製法で造られるワインは、フレッシュでフルーティーな香りが特徴です。イタリアのプロセッコなどがこの製法を採用しています。

 

 

スロベニアのスパークリングワインの生産者

 

スロベニアのスパークリングワインのうち、以下のワイナリーはとりわけ高い評価を得ています。

 

Radgonske Gorice(ラドゴンスケ・ゴリツェ):

ラドゴンスケ・ゴリツェはスロベニア高原の北東部、オーストリアとの国境付近にある渓谷に位置するスロベニア最大のスパークリングワインの生産者です。
豊かな歴史と品質へのこだわりにより、この地域のトップ生産者としての地位を確立しています。
その歴史は非常に長く、開業は1852年まで遡ります。
そして彼らが造り出す高貴なスパークリングワインは、国際コンクールで10 回以上の金賞を得ており、入賞に至っては100回以上に及びます。

 

ラドゴンスケ・ゴリツェのブドウ畑は、パンノニア平原の影響を受けた大陸性気候に属し、夏は暑く、冬は寒いのが特徴で、乾燥した爽やかな風が品質に好影響を与えています。
十分な日光、適度な気温、適度な降雨量、そして適切な土壌は、ブドウの木にとって好ましい自然条件です。
彼らの長い伝統に裏打ちされた丁寧な生産体制は、優れた品質かつ豊富な種類のスパークリングワインを生み出しています。

 

特にZlata radgonska penina(ゼルタ・ラドゴンスケ・ペニーラ)はお勧めです。
シャルドネ100%から造られる最高の一本で、洗練された味わいと華やかさ、フレッシュさが印象的なスパークリングワインです。
その明るく晴れた黄金色は、一目見ただけで特別な体験を約束してくれます。
エレガントで柔らかく、フラワリーでブリオッシュや酵母の余韻が続く、素晴らしいスパークリングワインです。

ラドゴンスケ・ゴリツェ(Radgonske Gorice)のワインはこちら

 

Dveri Pax(デヴリ・パックス):

デヴリ・パックスはスロベニアのシュタイアーマルク州にある、ベネディクト会修道院のワイナリーです。ここで造られるワインは、何世紀にもわたるベネディクトのワイン造りと現代の醸造法が組み合わされており、伝統と革新の完璧な組み合わせを表現しています。

 

デヴリ・パックスはポドラウィエのドラヴァ渓谷にあり、73ヘクタールのブドウ園にはフルミントに加えて、12 品種のブドウが植えられています。
その品質は高い評価を得ており、ワールド・ワイン・アワード2019では金賞も受賞しています。
また世界各国のコンクールでも幾多の賞を受賞するなど、トップ生産者としての地位を確固たるものにしています。

 

とりわけDP Brut FurumintDPブリュット・フルミント)はお勧めで、その上質な泡立ちから放たれる、熟成した酵母のブーケと、ローストしたヘーゼルナッツや熟した黄リンゴのニュアンスが特徴です。
ブドウはシャルドネとピノ ノワールから作られており、エレガントでリッチでありながら、フレッシュな果実味と複雑さの完璧なバランスも持ち合わせています。

Dveri Pax(デヴリ・パックス)のワインはこちら

 

 

スロベニアのスパークリングワインの楽しみ方

 

スロベニアで造られる高品質のスパークリングワインは、様々なシーンで楽しむことができます。以下はその例です。

 

食前酒:

冷やしてグラスに注ぎ、繊細な泡と香りを楽しめば、食事に対する期待を大いに高める事ができます。

 

料理とのペアリング:

スロベニアのスパークリングワインは、様々な料理との相性が良い万能な味わいです。魚介料理、サラダ、軽めの肉料理などと合わせてみましょう。ブリュットタイプは塩味のある料理に、ロゼタイプは果実味を活かした料理によく合うでしょう。

 

特別な日に:

誕生日、記念日、お祝い事など、特別な日にスパークリングワインは欠かせません。大切な人と一緒に、高品質なスロベニアのスパークリングワインを楽しめば、その思い出はかけがえのないものとなるでしょう。

 

 

スロベニアのスパークリングワインのまとめ

 

いかがだったでしょうか。
このコラムを通して、スロベニアのスパークリングワインの歴史や魅力をご理解いただけたことと思います。
スロベニアのスパークリングワインは、その美しい自然とワイン造りへの情熱が融合した、まさに「自然の恵み」と言えます。
グラスに注がれる泡を見つめながら、スロベニアの風土や歴史に思いを馳せ、その味わいをゆっくりと楽しんでみてください。
きっと忘れられない特別な体験となるはずです。
今後もスロベニアのスパークリングワインの進化に注目し、その魅力を楽しんでいきましょう。

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